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高血圧症

「最近血圧が高くてねえ…」「朝は血圧が低くてなかなか布団から出られません…」

高血圧に低血圧と、世の中は血圧という言葉で溢れています。

でも、そもそも血圧って何でしょう?

ここでは血圧についてわかりやすく解説し、さらに高血圧に関する注意点について順を追って説明します。

血圧とは?

血圧はポンプである心臓の強さと、ホースである血管が生み出す抵抗のバランスによって決まります

ヒトを含めた“高等生物”は皆、心臓(実は心臓にはさまざまな形がありますが、その話はまた今度いたします)がポンプの役目を果たしていて、血液がホースである血管の中を伝って体の隅々まで送り届けられることで生きています。

水道の蛇口にホースをつなぐと水が出ますよね。

そのホースの先端を指で押さえて水が出ないようにすると、指先に圧力を感じます。

これが水圧です。

血圧も基本的にこれと同じ原理です。

血管の中を流れている血液を外から押さえて(この押さえる装置を血圧計のカフと呼びます)どのくらい力を加えると血液の流れ(血流)を堰き止めることができるのかを測定し、それを数値化したものがいわゆる血圧です。

血圧はさまざまな方法で測定することができます

ホースである血管は一般に心臓に近いところほど太く、また壁も分厚く設計されており、心臓から遠くなればなるほど細く、また壁も薄くなっています。

ホースである血管の太さは全身でバラバラなのに、血圧はどこで測定しても良いのでしょうか。

最も正確に測定するためには、動脈に針を刺して、直接その圧力をセンサーで測定する方法が取られます。

これは集中治療室(病院によってはICUと呼びます)などに入室している重症患者さんでは一般的に行われていますが、外来にお越しになる患者さんに麻酔なしでそんなことはとてもじゃないですが痛くてできません。

では、どうしましょうか。

そうです、動脈圧を直接測定する方法で得られる結果と近い値が得られるような方法で測定するという工夫をしているのです。

それが外来に置いてある、または皆さんのお家にもあるかもしれない血圧計になります。

一般に出回っている自動血圧計は、上腕(腕の力コブのできるところ、または二の腕と呼ばれるところ)に巻くか、もしくは手首に巻くタイプです。

こういった位置で測定するのは、ある程度動脈の壁の厚みが薄くなっていて、かつ血管の径が小さいため、外からカフで締め付けることで容易にそこを通る血流を一時的に遮断することが容易にできるからです。

想像してみてください、あまりに太いホースだったり、細すぎるホースだったりしたら、そのホースをどのくらいの力で押さえれば水流を止められるかを確認するのは至難の業でしょう。

血圧計は自分にとって使いやすいものを予算に応じて購入すれば良いでしょう

では、上腕と手首で測定するタイプはどちらが望ましいのでしょうか?

昔から医療現場では上腕で測定した血圧を元に治療を行ってきました。

近年になってより簡便に手首で測定するタイプの血圧計がいくつも登場しており、両者から得られる数値には良好な相関が得られている、すなわちほとんど同様の測定結果が得られることがわかっています。

ただし、手首で測定するタイプの血圧計を用いる際には、血圧計を巻いた手首の位置が心臓の位置より10cm上がると8mmHg低く数値が算出され、逆に10cm下がると8mmHg高く数値が出ますので、カフの位置を心臓の高さに置いて測定する必要があります。

このように、正しい測定法で使用する限り、結論としては血圧計はどちらを用いても正確な結果が得られるということになりますので、自分にとって使いやすそうなものを予算に応じて購入すれば良いのです。

収縮期の血圧が高いと脳血管障害発生のリスクが上昇します

さて、これまでお話してきた血圧というキーワードですが、医療機関で用いる血圧には皆さんもご存知の通り、収縮期血圧と拡張期血圧という2種類の血圧が存在します。

簡単に申しますと、心臓がドクンと打って血液を送り出した(心臓が収縮した)際の血圧を収縮期血圧と呼び、心臓が次にドクンと打つまでの間にポンプである心臓に全身の血液が戻ってくる(心臓が拡張する)際の血圧を拡張期血圧と呼びます。

一般に血圧が高いとか低いとか論じる際には収縮期血圧がいくらであるかを念頭に話をすることが多いのは、収縮期血圧が慢性的に高いことが、脳出血や脳梗塞といった脳血管イベントの発生増加に寄与しているからです。

また、もちろん高い血圧を生み出す心臓にも必然的に大きな負荷がかかることになりますから、心不全や心筋梗塞といった心血管イベントの発生増加にもつながります。

拡張期の血圧は若い時の方が高い!

では、同時に測定しているけれど存在感の乏しい拡張期血圧にはどのような意味があるのでしょうか?

実は拡張期血圧にも重要な臨床的な意味があります。

そもそも、実際には若い時に比べて高齢者では拡張期血圧は低い傾向にあります。

えっ?という感じがしませんか?

これを理解するには、血管の中を流れる血液になったつもりでかかっている圧力について想像してみる必要があります。

若い時は血管は柔らかく、柔軟性に富んでいますので、心臓のポンプから勢いよく打ち出された血流は、血管を押し広げながら先へ先へと進みます。

その後、ポンプが次の血流を打ち出す準備をしている際(拡張期)には、押し広げられた血管が元に戻るよう縮みますので、その際は血管内に向かって圧力を生み出します。

しかし、年齢を重ねると多かれ少なかれ動脈硬化が進み、血管がガラス管のようにカチカチに硬くなります。

そうすると、心臓のポンプから勢いよく打ち出された血流は、血管を押し広げることはできませんので、一時的にうんと血管内圧が高まります(収縮期高血圧)。

その後、ポンプが次の血流を打ち出す準備をしている際(拡張期)には、逆にガラス管のようにカチカチに硬くなった血管の太さ(内径)は変化しませんので、血管が血管内に向かって生み出す圧力は生じません。

そのため、若い時に比べて高齢者では拡張期血圧は低くなるのです。

お分かりいただけましたでしょうか?

拡張期の血圧が高いと心血管障害発生のリスクが上昇します

ポンプとしての心臓の役割を見た時に、収縮期は1/3、拡張期は2/3の時間をそれぞれ占めています。

そのため、血圧が平均してどのくらいなのかを考えてみると、1/3の時間しか占めていない収縮期の血圧よりも、2/3の時間を占めている拡張期の血圧の方がより大きな貢献をしていることがわかると思います。

実際、医学的にも平均血圧は1/3 ×(収縮期血圧) + 2/3 ×(拡張期血圧)という式で算出されます。

ポンプとしての心臓への負担は、そこに接続されているホースである血管の中の平均の圧力に応じて増えるわけですから、拡張期血圧が高いと心不全や心筋梗塞といった心血管イベントの発生増加につながります。

しかしながら、年齢とともに進行する動脈硬化の進行に従って逆説的に拡張期血圧は低くなるため、拡張期血圧よりも収縮期血圧を指標に治療を組み立てることが特に高齢者では多くなります。

「悪性」高血圧は拡張期血圧で決まります

高血圧の原因の中で、特に注意しなくてはいけないのが、全体の1%以下の方が起こす悪性高血圧です。

他の高血圧と違い、発症は30~40歳代と比較的若い年代の男性に多く、極めて重篤な高血圧症で、その定義は拡張期血圧が常に130mmHg以上であることです。

拡張期血圧で「悪性」かどうか定義されていることからも、先ほどの話題で取り上げた拡張期血圧の重要性はご理解いただけるかと思います。

この悪性高血圧では眼の奥に特徴的な所見(乳頭浮腫)が見られたり、腎臓の機能が急激に低下したり、体重変化や心不全兆候など、急速に悪化する全身症状が見られます。

そのうち、患者さんがまず気付けるのは日々の血圧測定の際に、下の血圧(拡張期血圧)が130mmHg以上だった、ということですから、そのような結果が出た時には急いで医療機関を受診することが大変重要になります。

高血圧とは?

高血圧は放置しない方が良いでしょう

さて、ここからは血圧が高い状態が長く続く「高血圧症」に関して説明を続けます。

高血圧症になっても、通常すぐには自覚症状がない場合が多いのですが、長期間血圧が高い状態が続くと、前述のようにホースの役目を果たす血管に負担がかかり、さまざまな各組織でトラブルを引き起こします。

中でもダメージを受けやすいのが脳と心臓と腎臓そして眼です。

高血圧症になると、脳出血や腎不全、心不全といった生命を脅かすような病気になる確率が相対的に高くなります。

また血管に常に負担がかかる ため、血管が次第にガラス管のように硬くなり、動脈硬化も進行しやすくなり、それがさらに高血圧症を助長するという悪循環が生じます。

高血圧はサイレントキラーとも呼ばれ、症状がほとんど表れません。

高血圧と診断される直前から肩こりがひどくなった、頭痛がするようになったという方もいますが、多くの方では特に自覚症状は現れないのです。

高血圧症は生活習慣病です

高血圧の治療は、まず第一に生活習慣を改善することです。

その基本は、減塩と適度な運動、そして減量です。

例えば、高血圧症を持っている患者さんが、高血圧とは全く関係ない病気や怪我で2週間も病院に入院すると、その2週間は高血圧患者さん用の減塩食を入院食として提供されます。

日本人の食塩平均摂取量は男性が 11.0g/日、女性が 9.3g/日であり、目標である7.5g/日未満(男性)、6.5g/日未満(女性)を大きく上回っています。

高血圧患者さん用の減塩食は、日本の高血圧予防の目標量 6.0g/日未満 に設定されており、初めて食べるとかなり薄味に感じますが、2週間も食べ続けると降圧薬を服用せずに正常血圧まで落ち着き、降圧薬の内服を中止できるようになる患者さんもいます。

このように、厳格に食塩摂取量をコントロールすることが高血圧症対策では非常に重要です。

また、最近では血圧を下げるように働く食品成分がいろいろ発見されていて、有効な臨床データもでてきており、国もその有用性を認めた食品(特定保健用食品)が販売されています。

こういった有効な食品を利用することも、生活習慣の改善のひとつだといえるでしょう。

高血圧治療の大方針

高血圧治療の目的は血圧を下げることそのものではなく、将来の心臓や血管の病気にならないように、またその結果としての心疾患や脳卒中を防ぐことにあります。

具体的な治療は、血圧の高さのレベル、また高血圧以外の心臓や血管の病のリスクがどのくらいあるかによって分けられ、治療方法は変わってきます。

ざっくりまとめると、高血圧症における血圧の目標値は140/90mmHgです。

生活の改善を3カ月続けても血圧が140/90mmHg未満に下がらない場合は薬による治療を合わせて行っていきます。

当院では治療については患者さんの全身の状態をきちんと診断し、説明を行わせていただいた後、治療をスタートさせていきます。

わからないことや薬についての不安などありましたら、お気軽にお尋ねください。

ご自身で血圧値をつけていらっしゃる方は来院時にお持ちください。

血圧手帳をお持ちでない方は受診時にお声がけください、お渡ししますので是非ご自身の血圧を定期的に測定する習慣を身につけましょう。

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